梅雨末期の大雨に注意 過去5年連続で災害発生 早めの備えを

沖縄地方に続いて、22日には鹿児島県の奄美地方で梅雨明けが発表されるなど、近く全国各地で梅雨明けを迎えそうだ。一方、昨年に静岡県熱海市で発生した土石流など、豪雨に伴う災害は5年連続で発生し、梅雨シーズン後半に集中している。間近に控えた梅雨明けに気を緩めることなく、万一の災害に備えたい。

過去5年を振り返ると、2017年7月5日から6日にかけ、福岡県と大分県を集中豪雨が襲い、福岡県朝倉市では24時間雨量が586ミリを記録。40人が命を落とし、2人が行方不明のままになっている。九州北部のその年の梅雨明けは13日ごろだった。

18年には、6月28日から7月8日にかけて西日本を中心に北海道や中部地方など広範囲で豪雨となり、263人が命を落とす「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」が発生。23人が死亡した広島市では土石流による死者も出たほか、岡山県倉敷市真備町では、川の堤防が決壊し51人が命を落とした。特に被害が大きかった中国地方では6月5日ごろに梅雨入りし、梅雨明けは7月9日ごろだった。

19年6月29日には、西日本の太平洋側で局地的に激しい雨が降った影響で2人が死亡。20年7月には梅雨前線による集中豪雨が熊本県など九州地方や、中部地方など各地を襲い、熊本県で65人など計84人が命を落とす災害「令和2年7月豪雨」となった。21年7月1日から3日にかけて、東海から関東地方南部で記録的な大雨に見舞われ、静岡県熱海市網代では48時間雨量が321ミリを記録。熱海市伊豆山地区で大規模な土石流が発生したことは記憶に新しい。

これら災害の中でも、「平成30年7月豪雨」「令和2年7月豪雨」は線状降水帯が原因とされる。

発達した積乱雲が線上に複数並ぶことで形成される気象現象で、短時間で集中豪雨をもたらす点が特徴だ。気象庁は「数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することでつくりだされる、線状に延びる長さ50~300キロメートル程度、幅20~50キロメートル程度の強い降水をともなう雨域」と定義している。

線状降水帯による災害が懸念される中、気象庁は今年6月から、発生の可能性を12時間ほど前に全国11ブロックごとの予測情報を発表する取り組みを始めた。2年後には県単位での予測に精度を高める方針で、減災につなげたい考えだ。

線状降水帯の的中率は25%程度とされるものの、発生がなかった際も大雨となる可能性は高い。豪雨災害にどう備えるか。梅雨明けを控えた今、再確認したい。

気象庁はホームページの中で、台風や大雨への備えについて、
・家の外の備え
・家の中の備え
・避難場所の確認など
・非常持ち出し品の用意
など、想定されるシチュエーションごとに災害への準備のポイントを紹介している。

家の外に関する備えでは「側溝や排水溝を掃除して水はけをよくする」ことのほか、風で飛びやすいものはあらかじめ固定したり、家の中にしまったりすることを呼びかけている。家の中についても、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼って万一の怪我を防ぐことや、断水に備えた飲料水の準備、生活用水の確保のため浴槽に水を張ることなどをPRしている。

レトルト食品や、生理用品、軍手、ラジオなど非常持ち出し品についても多く紹介しており、確認しておきたい。

台風や大雨をはじめとする災害への備えとして、自ら大雨や台風に関する防災気象情報への注意のアンテナを張ることや、ハザードマップなどを参考に避難場所や経路を確認するといった「自助」に加え、近年は地域コミュニティを防災に活用する「共助」も大きく注目されている。

内閣府も「防災情報のページ」の中で、「共助」の価値を強調して紹介している。
・洪水ハザードマップ等の活用によって、水害の危険を予想・認知する工夫と努力を行う
・自主避難の判断、状況に併せた安全確保行動をとる
・地域内で住民参加による水防活動を行う
・事前に避難所運営の訓練をしておく
など7つのポイントを紹介して、協力し合って災害から身を守る大切さを説明している。

情報収集などを通じて直近に迫った台風や大雨に警戒することと併せて、日頃から地域コミュニティーの一員として互いの命や財産を守る取り組みを進め、万一に備える視点が重要だ。

(JX通信社 / NewsDigest)


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